2018/03/13 12:28

coconは、日本の伝統色を纏う装身具店です。


店先にならんだ色の装身具たちをみて、お客様は

「こんな飴、あったよねー!」と懐かしんでくださいます。

そう、それ、キュービーロップってやつです。
キューブ型のキャンディーが2色いっしょに包装されたやつ。

それから、
じーーーーっとながめて、

「これどうなってるの?これ何!?」と不思議そうに見てくださいます。


coconの色のものたちは、
樹脂(UVレジン)と、和紙でできています。

和紙には、色付けをしています。

日本画の顔彩をつかって。




今日は、
色をつくるときのことを、書いてみようと思います。





たとえば、最近、桜色と灰桜の色をつくったとき。


まずは、明るい方の色、桜色からつくります。

白をたーっぷり水で溶いて、
そしてそこに、少しづつ、「紅」の色を足していきます。



桜色、というと、「ピンク」と思いがちですが
実は桜色に赤みは、あまり無いんです。

どちらかというと、肌色のような。ベージュのような。
もちろん赤みも少しはあるんだけど、少しだけ黄みを帯びています。


だから、「紅」を足すときは慎重に。少しだけ、にします。
そうすると、薄い薄い、赤み寄りのピンク色ができあがる。


そこで、黄みを足します。
でも、黄色や刈安のような鮮やかな黄みではいけません。

桜色は、少し灰がかっているのです。
グレイッシュな感じ。


なので、黄土色や肌色など、少し茶色っぽい色を加えます。



こうしていろんな色を足していくと
足しすぎたり、足りなかったりするので
その都度、白、紅、黄土色、その他の色、など
色の様子をみて、足したりしながら、微調整していきます。



さて。だいぶ、桜色に近づいてきました。

さっき、桜色は灰がかっているという話をしました。

少しグレイッシュさが足りないようなら、
ほんの少し、黒や本藍、場合によっては紫など
濃く、暗い色を混ぜながら、灰がかった色を再現していきます。




こうして、桜色をつくっていきます。





それから、灰桜。

灰桜は、桜色を、もっと灰がかった色に、
そして、少しだけ青みをもっています。

もっともっとグレイッシュにするために
暗く、濃い色を足していくのですが
青みも同時に加えたいので、


紫を主に。あと、黒や濃い茶色などを。




色をつくったら、
和紙に色付けしていきます。
いろんな種類の筆で。

作品によっては、筆の跡をそのまま柄のように使うときも。




和紙に描かれた色は、
描かれたそのときと、水分が蒸発して乾燥したあとと、また、色が違います。

当たり前なんだけどね。

それがまた、おもしろい。


水は水で、色があるのかと思うほどに
水が含まれた色と
水のない色は、

その印象も、鮮やかさも、色味も、やっぱり違うのです。


色の加え方や加える量、
水の量、そんな微妙な塩梅をじっと考えながらつくる。

そのときの私が感じた
この色に必要な色、水の量を加えてつくっていく。

こんな感じなので
同じ色をまた、違う日につくるのはなかなか難しく。



そのとき、その日に生まれた色を
せっせと装身具にしているのです。


またこんど、色をつくる過程もお見せできたらいいな。


写真は、桜色。



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